自分の悩みにマジメに答えてみることにした

東京でサラリーマンをしながら、エッセイを書いています。たまに書評ブログも。「3分間であなたに新しい視点をひとつだけ増やす」をコンセプトにほぼ毎日更新中。

イケメンに生まれられなかったのですが、どうやって生きていけばいいですか?

1年くらい前だっただろうか。

何がどうしてそんなことを言われたのか、今でも全く分からないのだが、ぼくはしたたかに傷ついた記憶が鮮明に脳裏に焼きついている。

 大学の同期と作ったサークルの延長で、たまにみんなで集まってバスケをしている。結婚して、子供が生まれてからはあまり行けてないけど、機会があったときには顔を出すようにしている。

その日は、たまたま嫁が子供を連れて実家に帰っていたから、久しぶりに参加できた。

30目前の身体に鞭打って2~3時間くらいバスケをした後、飲みに行った。

こじんまりとした居酒屋だった。

適当にご飯も頼み、飲み始めてから1時間くらいたった頃。友達の一人が何の前触れもなく、つぶやいた。

 

「あれだな。むらまつは整形した方がいいな。」

 

ん?

いや。

ん?

 

「あれだな。」って、どれだよ。どの流れだよ。

「整形した方がいいな。」って、なんだよ。どこをだよ。どこでだよ。湘南美容外科クリニックかよ。好きな言葉は「挑戦と失敗」ですってか。

聞き間違いかと思った。というか、そうであって欲しかった。

「締めは雑炊がいいな。」みたいなテンションでいう内容ではない。

 

とっさに「いや、何でだよ!」と返したが、何故かそいつはそれ以降その話題に触れることはなかった。

酔っていたんだろうか。

酔っていたとしたら、それは思わず出た本音ではないか。

「俺、次は獺祭がいいな」みたいな流れで言うセリフではない。

 

タチの悪いことに、言った本人の顔が良いから余計に言い返せない。

同等かそれ以下なら「お前に言われる筋合いはねぇ」と返せたが、「ぐぬぬ…」と唸るばかりだった。

そりゃあ、できることならイケメンに生まれたかったさ。

女子にわーきゃー言われて、ちやほやされたかったさ。

靴箱にラブレターとか入れられて、体育館裏に呼び出されたけど、「俺、好きなやついるから…」とか言って、本当はいつもふざけあってる幼なじみが好き、みたいな設定で人生やり直したかったさ。

 

生まれたての頃の自分の写真を見ると、ぷっくりほっぺに、小豆のような目。大きな鼻。
両親もさぞ悲しんだことだろう。
ぼくが親なら目いっぱいの愛情を注ぐ。

当のぼくの親はというと、「目が小さい」「鼻がデカい」と、ただただ現実という名の刃で致命傷を負わせながら育てるという鬼畜ぶり。グレなかったことほめてくれ。

まぁ、そんなぼくも結婚して、子供がいるわけだから、結局顔じゃないんだよ、と顔面偏差値下位集団の希望になれたのではないだろうか。みんな、現実受け止めて、一緒に頑張って生きてこうな。

 

でもさ、イケメンだったら渋谷とかでナンパとかしてさ、女の子たぶらかしてさ。次から次へと、Wifiのように女の子が飛び込んできてさ。5股とかかけちゃって、「私のよ!」「私のよ!」「やめて、ぼくのために争わないでくれ!」とか言っちゃってさ。

両成敗が止まらねぇなぁ!おい!

ロマンスがありあまるなぁ!おい!

 

イケメン最低じゃん。

イケメンなんかに誰がなるものか。