「本を読みたいけど時間がない…」という方必読!"読んでいない本"について語る方法とは?
忙しい。でも、本は読みたい。
かくいうぼくも、仕事の傍ら何冊も本を読むことには大変苦労しています。
そんな方にお勧めしたい本がこちら。
ピエール・バイヤール著/大浦 康介訳「読んでいない本について堂々と語る方法」です。
なんとも大胆なタイトルですよね。
この記事では、この本のエッセンスをサクッと紹介したいと思います。
問題点は読書への姿勢にあった
本を読むときって、まえがきから始まり、目次を読んで、第一章から最終章、あとがきまでを一字一句丁寧に読もう、と思いますよね。筆者としては、まずそこが間違いだといいます。
本というものは初めから終わりまで全部読まなければならない。飛ばし読みや流し読みは、まったく読まないのとほとんど同じくらい良くないことであり、とりわけそれを口外してはならない。…
義務や禁止からなるこの規範の体系は、結果として、人々のうちに読書に関する偽善的態度を生み出した。
ピエール・バイヤール著/大浦 康介訳「読んでいない本について堂々と語る方法」
全て読むことが正しい。読まないなんてことは許されない…と躍起になるのではなく、まずは、全部読まなければならないという発想を捨ててみることが肝要です。
さらに大事な点がもう一つ。
本屋や図書館、電子書籍を見てわかる通り、この世の中には本が溢れています。そして、それら全ての本を読み切ることは、不可能なのです。
いくら読んでもキリがないというこの事実の発見は、読まないことの勧めと無縁ではない。
ピエール・バイヤール著/大浦 康介訳「読んでいない本について堂々と語る方法」
そもそも"読んでいない"とは
筆者は、"読んでいない"という状況にもあいまいさが内在していると言います。
・全然読んだことのない本
・ざっと読んだことがある本
・人から聞いたことがある本
・読んだことはあるがが忘れてしまった本
ピエール・バイヤール著/大浦 康介訳「読んでいない本について堂々と語る方法」
最後の項が示すように、人間の脳が忘却をやめない限り全ての読書は上記に分類されてしまうことになる、ということですね。そもそも「読んだ」という状況にも明確な状態はないわけで。
裏を返すと、「読んでいない」とみなされる状態も、実は何らかの意味で既読の一状態になっていることになります。
読んでいない本について語るには
読書はタイトルや作者名を知った時点から始まります。
ざっとしか読まなくても、人から聞いたとしても、それに対してコメントをすることはできます。
例えば、友人から「あの本どうだった?」と聞かれ、どう答えますか?
内容の要約を事細かに説明するわけではないでしょう。
友人が求めているのは、それを読んだあなたのコメントのはずです。
筆者はこうした背景を踏まえ、このように述べています。
ある書物について語るということは、その書物の空間よりもその書物についての言説の時間にかかわっている。
ピエール・バイヤール著/大浦 康介訳「読んでいない本について堂々と語る方法」
そして、筆者はこうも述べています。
われわれには他人に向けた真実より、自分自身にとっての真実の方が大事である。後者は教養人に見てもらいたいという欲求から解放されたものだけが接近できるのである。
ピエール・バイヤール著/大浦 康介訳「読んでいない本について堂々と語る方法」
人が本を読む最大の目的は、"自分自身にとっての真実"を手に入れることであって、他人から教養人に見てもらうためではない。ということですね。
筆者が伝えたいこと
最後に筆者はこのようにまとめています。
良い読者が実践するのは、さまざまな書物を横断することなのである。良い読者は、書物の各々が自分自身の一部をかかえもっており、もし書物そのものに足を止めてしまわない賢明さを持ち合わせていれば、その自分自身に道を開いてくれるということを知っているのだ。
ピエール・バイヤール著/大浦 康介訳「読んでいない本について堂々と語る方法」
大切なのは、一冊の本に時間をかけて完璧に読み解くことではなく、複数の本に広く浅く触れ、自分自身としての意見を持つということと理解しました。
まとめ
- 「本は一字一句読まなければならない」という固定観念を捨てる
- 人が本を読む最大の目的は、"自分自身にとっての真実"を手に入れること
- 大切なのは、複数の本に広く浅く触れ、自分自身としての意見を持つこと
興味を持たれた方は、ぜひお手に取ってみてください!