自分の悩みにマジメに答えてみることにした

東京でサラリーマンをしながら、エッセイを書いています。たまに書評ブログも。「3分間であなたに新しい視点をひとつだけ増やす」をコンセプトにほぼ毎日更新中。

幼い恋心って誰しもあるものですよね?

6歳離れた従姉の結婚式にお呼ばれしてきた。

 

小さい頃、正月やお盆に祖母の家で従姉に会うのが楽しみで仕方なかった。いつだって明るくて、面白くて、大人で。長男のぼくは、その時だけは"弟"になれた。

 大きくなるにつれて、従姉は正月にもお盆にもあまり祖母の家に来ることがなくなった。それ以来、疎遠になってしまって、ぼくは従姉との接し方を忘れてしまった。

祖母の喜寿のお祝いと、ぼくの婚約祝いを兼ねた会席で数年ぶりに従姉に会った。久しぶりに会った従姉は記憶よりも小さくなっていた。いつの間に追い越してしまっていたのだろう。

その会席で、当時独身だった従姉に聞いてみた。「結婚はしないの?」

「もうすぐ結婚しようと思ってるよ。式には呼ぶからね。」従姉は笑って答えた。

少しだけ、心がざわついた。

それから、従姉はこう付け足した。「いつのまにか大人になっちゃって。」

「そりゃあ、もう28だからね。」そう軽口をたたいて、ふいに顔を出した幼い頃のぼくを心の隅に隠した。

 

新郎の下へ一歩一歩進んでいく。

従姉はぼくの目の前で、ぼくの目を見ながら笑った。

ぼくも笑い返して、従姉の背中をそっと見送った。