自分の悩みにマジメに答えてみることにした

東京でサラリーマンをしながら、エッセイを書いています。たまに書評ブログも。「3分間であなたに新しい視点をひとつだけ増やす」をコンセプトにほぼ毎日更新中。

「正義」ってなんですか? 20世紀少年

20世紀少年

今日、映画版「20世紀少年」を見た。

浦沢直樹原作の漫画は高校生の頃にドキドキしながら全巻読破した。

ぼくは浦沢直樹の絵が好きだ。人や物の描写が繊細で、漫画でありながら実写に近い感覚で読める。

 20世紀少年のほかにも「MONSTER」や「プルートゥ」などを読み、浦沢直樹の世界にどっぷりと漬かってきた。いずれの作品も本格ミステリーといったところ。謎が謎を呼び、次の展開を期待せずにはいられない。

20世紀少年は、ミステリー×SF×レトロといった一見ごちゃごちゃとした背景を持つが、個人的には「レトロ」の部分がこの作品全体の不気味さを引き立たせる魅力だと思う。

まだ読んだことのない方のために簡単にあらすじを紹介しておこう。

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)

 

 

あらすじ

高度経済成長期、大阪万博が間近に迫った1970年頃。小学生のケンヂとその友人達は未来の世界を空想する。20世紀の終わりに悪の組織が動き出し、サンフランシスコやパリ、羽田空港でテロが起こる。巨大ロボットが東京の町を破壊する。混沌とした世界をぼくらが救う。そんな他愛もない話をノートに書き留め、彼らはそれを「よげんの書」と名付けた。

それから月日が経ち、1997年。コンビニを営んでいた主人公のケンヂはある日、幼なじみの死をきっかけに薄れかけていた記憶が次第に呼び覚まされていく。それから起こりだした世界各地の異変が、かつて描いた「よげんの書」の通りであることに気づく。一連のできごとの陰に見え隠れする謎の人物「ともだち」との出会いによって、物語は動き出す。

 

自分の「正義」に生きる

今日映画を見て、ぐっと来た言葉があった。

それはケンヂが「ともだち」の部下である万丈目という男にいうセリフだ。

 

「悪になるのは大変だ。正義の味方になる方がよっぽど楽だ。」

 

このシーンでは、万丈目がかつて関わった犯罪を告白する。

細菌兵器を使ったテロ、爆破、洗脳など。その中で、「ともだち」のために自分の手で罪を犯した時の話にしか「リアリティがない」とケンヂに指摘されてしまう。

万丈目は唯一自らの手で犯した罪への罪悪感を、何十年も拭い去れずに生きてきていた。それでも、「ともだち」の側近として「悪」に徹することでそれを正当化しようとしてきた。最終的には「ともだち」に見限られてしまい、自分の罪の意識だけが残ってしまう。

 

自分の信念に少しでも嘘をつこうとすると、あっという間に無理が生じる。自分が信じた道に向かって進んでいくことは、生き方を楽にしてくれる、と言っているようにぼくには聞こえた。