自分の悩みにマジメに答えてみることにした

東京でサラリーマンをしながら、エッセイを書いています。たまに書評ブログも。「3分間であなたに新しい視点をひとつだけ増やす」をコンセプトにほぼ毎日更新中。

人の印象は何で決まるか

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 昨日も書いたが、ぼくは展覧会などに行くのが好きだ。4年前、「Tokyo Desiners Week」という展覧会へ行ってきた。その年のテーマは「天才万博」。今ネットでその単語を調べたら音楽フェスが出てきたが、これではない。
 いや実は、まったくの無関係ではないのだが。

  場所は東京の外苑前。特設の会場がいくつにも分かれていて、外にも展示物が並ぶ。企業や大学生、デザイナー、アーティスト。各方面の"天才"がさまざまな形で表現する、といったコンセプトだった。
 映像、模型、服、彫刻、絵画、陶芸。こうゆう発想はどこから来るのか。相変わらず興奮していた。
 あるブースの前を歩いていると、一人の男性が周りに大きな声で呼びかけていた。

 「トークイベントをしますよ。ぜひ会場へいらしてください。」

 

 すると、その男性はぼくの方へ向かって歩いてきて、握手をせがまれた。

 よく見ると、その男性はキングコング西野亮廣さんだった。

 あえて、本当のことを言わせてもらうと、はねるのトびらが終わってから姿を見なくなった彼を、"売れない芸人"としてカテゴライズしていた。
 ネットのコラムなんかでも「プライドが高い」「おもしろくない」など酷評に次ぐ酷評を見ていたからか、正直なところ良い印象はなかった。
 それに、何故この「天才万博」に来ているのか、その時ぼくには分からなかった。

 実を言えば、その時初めて芸能人と握手をした。
 昔、何かで「出川哲郎は別に好きじゃないけど、街で見かけたら握手してほしくなる」みたいな話を聞いたことがあったが、まさにそれを思い出した。今や好印象芸人で、街中であったらサインに写真攻めだろう。

 話を戻すと、ぼくはその時、芸能人と握手できたことが嬉しかった。
 良く知らない人、直接関わったことのない人には陰口なんて掃いて捨てるほど言えるが、ひとたびその人に触れてしまうと、好き放題言えなくなる。その時、西野さんに対してフラットな印象を持つことができた。

 トークイベントは少しだけ顔を出して出てきてしまった。何せ、会場は広い。その時点で半分も見られていなかったので、急いで回ることにした。
 いろいろと見て回り、終盤に差し掛かった頃、絵画が並ぶブースに来た。

 そこで、この展覧会で一番目を引かれる絵を見つけた。
 繊細なタッチのイラストが何枚も飾られている。どことなくレトロなタッチ。コミカルなキャラクター。ゴミゴミとした街並みの中にも温かさを感じる色使い。
 作者の名前を見る。

 「西野亮廣

 その時、鳥肌が立ったのを今でも覚えている。

 その2年後、彼はクラウドファンディングで資金を募り、絵本「えんとつ町のプペル」を出版し、一躍注目を集める。
 彼は今や、時代の最先端のビジネスを動かす人間だ。

 人の印象は才能と功績で決まる。

 どんな才能を持っているか。そして、何を成し遂げたか。

 彼は間違いなく、「天才」だった。